裁判のIT化
裁判へのIT化導入
コロナ自粛下にあって、多くの場面でIT化が進みました。
裁判も例外ではありません。
もともと、民事事件においては、書面審理がメインでした。
わざわざ遠方の法廷まで出向いても、一言二言、確認をして、後は、次回期日と書面の提出日を決めるだけのことが多くありました。
うがった見方をすれば、「何か確かめることが起きたときの備え、念のために当事者を呼びつけておこう」、という「お上」気質の裁判官がいたりします。
しかし、これは、代理人や本人に膨大な無駄を強いていることに他なりません。
というのも、裁判期日の前に、主張すべきことや証拠は書面で提出されているからです。
そのため、あえて裁判の当日、出向かなくても、電話やZOOMなどの機器で足りる場合がほとんどなのです。
もちろん、和解の打診や複雑な事件の整理などは、直接顔をつきあわせて行うことが重要ではあります。
裁判所の周りには、弁護士事務所だらけです。それは、法廷に出席しなければならないから、裁判所の近くに集まってしまうのです。
しかし、IT化が進めば、裁判所のそばに事務所を構える必要はなくなっていくわけです。
当事務所が、裁判所の真ん前にあるのも、法廷にすぐ行けるメリットを考えてのことでした。
現実の問題として、裁判公開の原則から出廷が必ず必要なのは、第1回(被告の場合は擬制陳述により不出廷が可能)、人証尋問、口頭弁論終結日、判決日(民事事件の場合は主文だけでは不明で判決全文が必要であることが多いが、主文以外は読み上げないため、出廷しないことが多い)だけです。
IT化に支障はなく、もっと早く進展させるべきだと思いわれます(もっとも解決しなければならない問題や非弁活動の排除も重要ですが)。
IT化のフェーズによる進展
裁判の恩恵(法による保護)を全ての人が等しく受けることができるためには、IT化は必須だと思われます。
もっとも、IT化に取り残される人々の救済と併行して進めることが必要ですが、裁判を受けることを躊躇する理由である長い期間、高い費用、これらが改善されることが期待できます。
いきなりは一気に実現するのは難しいので、フェーズに区分して、裁判に導入していっています。
現在は、現行の民事訴訟法等を活用して、その範囲で可能な限りのIT化を進めています。
書面による現実の口頭弁論を前提にした手続法では限界があるので、法改正をして、IT化が完成に向かうことになります。
習熟と課題
裁判所では、マイクロソフト チームズ(Teams)を導入して、民事裁判を行います。
現在は、テレビ会議程度のものです。
それでも、裁判官や代理人が不慣れな場合は、スムーズに進められないことも起きています。
互いに習熟して支障がないように、早くすべきですが、時間と慣れによって解決されていくことは間違いありません。
問題は、画面に映り込まない所に第三者がいて指示をだしていても分かりにくいという点です。つまり、非弁活動が入り込みやすいという点です。
先日、Teams期日において、開始時間になっても相手代理人と繋がらず、電話連絡もないため、裁判の開始が遅れたことがありました。
相手代理人の事務所に電話が入れられたのですが、秘書が「裁判期日は把握しておらず、弁護士は不在です。弁護士と連絡もすぐにはつきません」と答えていました。
裁判官が終わろうとしたとき、やっと、相手代理人から電話がありました。
「失念しておりすみませんでした」というと思いきや、「事務所にいました」と平然と言ったのには驚きました。
見えないところでは、何でも言えたり、できたりする危険を感じたIT期日でした。


